もうすぐ、僕も参加する関西コミティア73が開催される。
なんかクセとして、同人イベントの前はそれのことで頭がいっぱいになるので、同人誌関連の調べものをやけにしてしまうのだが、その際にとある論争が目に留まった。
それは、ZINEと同人誌はどう違うのか、というもの。
ZINEというのは、海外発祥の自費出版物の総称…と言えばよろしいのか、日本の同人誌と近しいものがある。
どうやら3月末にひと揉めあったらしいのだ。誰かがZINEを上げて同人誌を下げるようなことを言ったのか、はたまたメディアに紹介されたことがきっかけなのか、定かではないのだが、ZINEと同人誌は違うものだ、いや違わない、という感じの論争を、僕は二か月近く経った今頃掘り起こしてきたのだ。
正直ツイッターの論争はマジでロクなものがないし、一部を除きソースもクソもない個人の主観のぶつけ合いだから、断じてその論争に乗っかりたいわけではない。「ふーんそういう考えもあるんだ、俺は興味ないし同意できないけど」とスルーすることができないヒトであると自ら表明しに行ってるようなモノだから…(こんなボロクソ言っているけど、俺も無意識にやっていると思う。恐ろしや)
ただ、じゃあ実際ZINEと同人誌ってどう違うんだろう、と僕は個人的気になったのですごく軽くだが調べてみた。ZINEの文化を実際に経験したわけではないので、なんか違うとこもあるかもしれないが、許せ。
あと、個人の覚書的なモノがすごく強いので、あんまり正確性を求めないように!
まず、僕は同人文化に漬かり始めて数年経つので、そちらについてはある程度知っているつもりだ。一方、ZINEについては、存在は知っていた。
なぜかというと、(説明がちょっとややこしいけど)僕はUTAUという、すげーざっくり言うと有志が開発したフリーで気軽なボカロのようなもの(同じとこが出してるわけではない、詳しくは調べて)を五年ほど触っていて、そのUTAUで使える音源(初音ミク、みたいな感じで声とは別にキャラ設定がなされている)を配布している。
配布するからにはもちろん利用規約を設定せねばならず、UTAUを触っている連中には海外のユーザーも沢山いるので、彼らにもわかるように英訳版の規約も用意した方が、必須ではないが親切ではある。で、この英訳版の規約を用意する際、僕が頭を悩ませたのが「同人誌へのキャラの利用可否」についてどう訳すか。
同人誌を直接訳す言葉は知っている限りでは存在しない。多分。自費出版物、というと少し長い。Self-published works的な感じか?
それで困って、少し調べてたどり着いたのがfanzineという言葉。これはZINEの中でもfanworks(二次創作)を指す言葉で、ファンが出した自費出版物という意味合いになり、ほぼ日本の二次創作の同人誌と同義。これはぴったりだ、と思って僕は英訳にこの言葉を使用した。
その後同時期に、海外の漫画家さん(たぶんアマチュア。めちゃくちゃ絵ウマい)が自身の描いた創作BL漫画を小冊子にまとめて頒布し始めた。へー、日本の同人誌みたいなことしてる!と思って、買えそうなら買おうと思ったのだが、その方が委託しているサイトの発送地域を見ると(サイトもマンガも全部英語だったからなんとなく察してはいたけど)日本が入っていなかった。おま国である。俺は泣いたね。そして、その本のタイトルが、(作者名)+ZINEだった。ああやっぱり、ZINEとは自費出版物のことであるという認識でいいのかな、と思った。
さて、そういった経験を経て先ほど僕はZINEというものに再会したワケだけど、結局同人誌と何が違うのか。それは言ってしまえば文化と、発展の仕方だと僕は考える。
ZINEについて超ざっくりと調べてみたところ、源流は、自費出版物というくくりで見れば18世紀ごろアメリカで発行された政治についての本ではないかと言われているっぽい。ZINEの文化が定着していくようになったきっかけは、20~30年代くらい、当時のSFオタク達が先ほど述べたfanzineを作り始めたことからだそうだ。ZINEという言葉の語源はそこから来ていると。
日本の同人誌の源流を同じく自費出版物というくくりで見れば、明治時代に発行された啓蒙雑誌じゃないかと言われているとか、なんとかで、結構似ている。というか、その啓蒙雑誌もその19世紀に発行されている+欧米に詳しい人々が発行しているっぽいので、マジの源流はアメリカなんかな?
両者の文化の流れとして、政治主張・啓蒙がメインであった自費出版物が、その後オタク達が同好の者たちで楽しむものとして発展していった。そんでそっから、啓蒙やら政治やら意思表示やらが強めに残ったのがZINEで、オタク要素が強めに残ったのが同人誌…みたいな認識でいいのかな…?
(もちろんZINEにもそれこそfanzineや、俺が買えなかった漫画本みたいにオタク要素が強いものはあるし、同人誌も自身の主張をまとめたものを発行する人はいる)
そう考えると、全くの別物とも言い難いんじゃないか、と思う。
元々頭のいいヒト達が自身の考えの主張の手段として利用していたものが欧米などの海外(ZINEのユーザー層がどの辺の国がメインか知らないからあえてこう描く)でカルチャーとして育った結果がZINE、日本で育った結果が同人誌なんじゃないだろうか。
なので、ZINEはキモオタが出す同人誌と違ってオシャレな文化なのよ!と完全に切り離すのも、ZINEなんて同人誌をオシャレに言っただけだろ!気取るな!とごっちゃにするのも、ちょっとナンセンスなんじゃないかと感じた。
まあこれらの攻撃的な意見はそれぞれの文化圏の総意ではないことは確かだ。こういうのは大体声のデカいヒトだけが目立つものだし。
ざっと調べただけだから、もっと僕が知らないところで文化の混ざり合いがあるかもしれない。それも含めて文化の発達の過程というのは面白いのです。オホホ。
朝五時に目が覚めてそこからこれを書き上げるまで二時間かかっていた。早朝から文化について論じるとか俺はジジババかよ