ちょっと前まで、牧場物語 Let’s!風のグランドバザールをやっていたのだが、今回それについての感想と、思ったことを書く。
まず、風のグランドバザール、略してグラバザの感想としては、おおむね好感触といったところで、しかしやはり細かいところで気になるポイントがチラホラあった。
俺はシリーズ全てをプレイしたわけではないが、結構な牧場物語ヘビーユーザーで、今回のグラバザもとても楽しみにしていた。グラバザは『ようこそ!風のバザールへ』という、DSで発売された作品のリメイクだ。リメイク元は丁度やったことが無かったのだが、俺を牧場物語ジャンキーたらしめた、『キラキラ太陽と仲間たち』と近い時期に発売されているため、恐らく俺の好きな雰囲気であろう。
世間的には3DS時代の牧場物語シリーズが特に評価が高いのだが、個人的にはDS時代の華やか過ぎず、キャラの頭身もそこそこ低めでカワイイ雰囲気が好きだ。3DSシリーズに入るとグラフィックの向上に伴い、キャラクターの立ち絵の頭身が高く、オトナっぽくなり、かつちょっと乙女ゲー・ギャルゲーっぽさが増した。個人的にはハーベストムーンやキラキラ太陽の仲間たちくらいの海外の田舎感あふるる、地味で土臭いカンジがリアルな牧場っぽくて好きだったので、3DSシリーズはそこまで熱中しなかった。ちょっとキャラ萌え要素が濃くなったのもある。
そして、魔のSwitch期…と、これは俺が勝手に呼んでいるだけだが、とにかくswitchに入ってから牧場物語は良作に恵まれなかった。グラも内容も子供だましなミネラルタウンリメイクに始まり、あのオリーブタウン… コチラはあまりにも評判がひどかったので手を出していないが、これに関しては俺が語るまでも無いだろう。
そのあとに出たワンダフルライフのリメイクはまあまあよかったが、こちらは農業要素があんまりのめり込めなかったのと、男キャラがひどい(こちらはリメイク元がもっとアレなのでしょうがなくはある)、特にゴーディの無理矢理感… ゴーディは今の時代じゃもうホント世間的に許されないようなキャラなので、無理くりあんなイケメンに直してまで出してもどうなんだって感じなんだけど…
そんな感じで、もう牧場物語シリーズはダメか…と思っていた矢先、グラバザが発表された。元々グラ重視のシリーズではなかったが、3Dがお粗末…という時代が続いていたため、美麗なグラバザのグラ(ややこしい)には大層感動した。やれば出来んじゃん!すげえ進化してる!と感じた。
此処で補足しておくが、俺の中の良いグラフィックとは、何もFFのようにリアルな3Dをぐりんぐりんにすることではない。世界観に合った色使い、雰囲気が一番大切だと思っている。なのでスタデューバレーやユニコーンオーバーロードも俺の中では最高なグラフィックだと思っている。
そんな感じで、初報のグラバザに対してとても期待をしていたし、買った直後は文化的な生活を忘れるほど遊んでいた。
まず、先ほども述べたように圧倒的に進化したグラフィック。少し手荒な部分もあるが、今までのswitchで発売したシリーズを考えるともう雲泥の差である。ゲーム内の重要要素である「風」の表現もさることながら、豊富な自然、木々、緑や山々… 俺はもう牧場物語に自然や土っぽさを求めまくっているので、この描写はもうホントによかった。
そして、牧場とバザール。これもホントに面白くて、やりごたえがあった。風のバザールは、牧場で育てた作物や、採取した副産物を販売する方法が従来の牧場物語とやや違っている。従来のシリーズは、収穫・採取したものを牧場内にある出荷箱に入れておくと、毎日大体五時くらい(タイトルによってちょっと違うカモ)に係の人間が回収しに来て、翌日に売り上げが振り込まれる。
しかし、風バザは出荷箱がない。代わりに、週に一度開催されるバザールで育てた作物や副産物を販売してお金を稼ぐ必要がある。リメイク元はプレイしたことがないため今作とは多少違うのかもしれないが、今作は月ごとに流行している商品が変わるため、それに合わせて作物や副産物を風車で加工して販売したりする必要がある。
いう間でもなく俺は金をちまちま稼ぐゲームが大好きなので、これがホントに楽しくて、以下にがっぽり稼げるかをちまちま考えながら遊ぶのが非常に楽しかった。これで丸三日は浪費してしまった。
毎日毎日カワイイ動物たちに餌をあげ、副産物を回収し、作物に肥料をやり…の繰り返し。何の苦行だよと思う方もいるかもしれないが、俺にはこれがたまらなく楽しい。
以上のように、ホントにここまでなら神ゲーと呼べるような本作であったが、個人的に凄く気になる点がいくつかある。
それは、住民・恋愛候補たちについてだ。本作は先ほど、グラフィックが著しく向上したと書いたが、その代償として、キャラクターのモーションのぎこちなさ、表情の乏しさ、声の違和感が露呈してしまっている。
プレイを開始した直後、街のグラフィックの綺麗さに感動したと同時に、町長のモーションのぎこちなさ、効果音のチープさに違和感を覚えた。この効果音というのは、主人公を捜査しているときのものではなく、会話の中で挟まれる演出用の効果音。なんか、安っぽい。太鼓がドドン!となる音が、全然響かない。
そして、表情の乏しさ。これは特に主人公が著しく、正直言うと、ちょっと変じゃね?みたいな表情になることも少なくなかった。また、キモイことを承知で言うが、牧場物語の醍醐味の一つだと勝手に感じている照れ顔もちょっと微妙だと感じた。本作では3Dモデルの顔がアップになると同時に、立ち絵も横に表示できる。しかし、なんというか全体的にテンプレ感があり、キャラの個性がかなり薄いと感じた。
こういう顔させとけばオタクがワーキャー言うでしょうよ、と思ってんじゃ無いスか?ということを邪推してしまう(これもまたキモいオタクの意見であるのはわかっているが)。
しかし、キラキラ太陽と仲間たちの時の、普段のキャラとのギャップもありつつ、可愛さもありつつ…といった照れ顔の魅力が半減している気がしてならない。本作はただうっすら頬を染めさせただけみたいな、そんな塩梅だった。
そして声も違和感に一役買っていると思う。俺は声優についてほとんど知識も興味もないが、知人たちが話しているのを聞きかじってはいたから名前自体はある程度知っているつもりだ。そして今回は、そんな俺でも少し聞いたことあるような若手の人気どころが恋愛候補の役として集められていた。
しかし、節々で違和感を感じることが多かった。これは声優たちの演技の問題というより、ディレクションの問題だと思うが、薄っぺらさというか… セリフ(文字)の雰囲気と合っていない音声も多かった(これは音声量の少なさと、制作側のセレクトの問題だと思う)。あんまり言うと後が怖いのでこの辺にしておくが、なんというか、全体的に牧場物語の雰囲気と合っていなかった。
例えば、今を時めく原神や、その他ソシャゲ系のもっときらびやかで美少女美少女イケメンイケメンしているゲームならよかったと思う。しかし牧場物語となるとちょっとそういった派手な雰囲気が合わない。毎回決め台詞を読んでいるような抑揚は、あの大自然と戯れるタイプのゲームとは相性が悪いと思う。
おっさんや老人キャラなどの演技はすごく良かったし、結局俺がこのゲームで好きになったキャラはこの辺に渋滞している。牧場物語は太っちょのおっさんがかわいいゲームです。
あと、コチラはかなり賛否両論あったであろう、新恋愛候補であるディアナ、アラタの追加と、アネモネの急な別人化。
正直、ディアナは結構良かったと思う。世界観と乖離がなかったし、立ち位置もバザール委員会の人間という設定で、追加キャラとしては無難な設定だった。しかし、俺はアラタがどうしても…
アラタはディアナと共に、人を待っているという理由で街にやってくる。正直北欧っぽい風バザの世界観に、昔の日本の馬借や農耕人のようないでたちで登場するのは違和感がある。まあ旅人ならそういうのもアリか…と思っていた。この時までは。
以下、大ネタバレ。
アラタが待っていたのはシュミット(別の恋愛候補)だった。
アラタが言うには、シュミットとアラタの一族は昔から関わりがあったとか何とか云っているのだが、おかしくね!??江戸時代の農耕人みたいで山で修業&野宿してるやつと、衣装に南国っぽさのある王族のシュミットが、ですか!?
俺はあまりメタ的視線でゲームを眺めることが好きではないが、この二人は、開発側からのなんかしらの思想を感じずにはいられないほど、異様にプッシュされている。シュミットはアラタの話をやけにするようになっているし、なんならホテルでアラタと同じ部屋で暮らしている。幼馴染だとか、そういう設定もあっただろうか…
他のキャラ同士でもなんだか思想を感じずにはいられなかった。シェルファとエンジュとかも…
もちろん、友人間の絡みを見られるのは良いことだが、なんだか友人の範疇を踏み越えそうになっているモノも多かった印象である。
キャラと結婚できるのが醍醐味のひとつであるゲームに、こういった過度なキャラ同士の絡みは必要なのか?
従来の牧場物語にもライバルイベントというのが存在し、放っておくとライバルキャラとお目当てのキャラが結婚する作品もある。しかし、本作はそれらとはまた違う、狙ってる感がある。
従来のライバルイベントは、見たくなければ回避することができたし、自分がお目当てのキャラと結婚してしまえばよい話。しかし、本作のそういったイベントは住民イベント扱いなためか、お目当てのキャラを攻略するためにはその異様に仲が良い友人キャラとお目当てキャラがいちゃつくイベントを見なければならない。
そしてそれらのイベントはなんだか主人公の入るスキなんてもうないじゃん?といわんばかりの雰囲気。友人扱いなため、キャラと恋人になろうがその異様にプッシュされている友人キャラの話を聞く羽目になる。
あと、シンプルに恋愛イベントがテンプレ的で薄い気がする。これは昔のシリーズに思い出補正がかかっているだけかもしれない。もしかしたら、昔のはグラフィックが荒かった分、想像の余地があって良かったのかもしれない。しかし、仲良くなる前と後で特に大差を感じない。
時代的にある程度仕方ないのかもしれないが、皆最初から優しすぎるのだ。昔の牧場物語を思い出してほしい。仲良くなる前はもうホンットに冷たくて、家を訪ねればさっさと帰れと言わんばかりの塩対応。そこから苦労して好感度をMAXにした時のあの変わりっぷり。デレデレなんて言葉では収まらないような、もうラブラブラブ~とえりーなが歌い出すほどのアマさ。
たしかに昔のは昔のであんな冷たくすることもないじゃないかといった感じだが、それにしても本作は最初から優しくし過ぎている気がするし、好感度が上がっても特に甘々になるわけでもないので、達成感があまりない。そこに加えて先ほどの異様に仲の良い住民の話ばかりするので、俺の頑張りは一体…と感じてくる。
ちょっと書くだけのつもりだッのがあまりに長くなってしまい、左腕の手首が限界を迎えそうなので、ブチ切りではあるがここらでまとめる。
総評として、牧場物語としてのゲーム性と、自然や街のグラフィックはよかったけど、キャラクター周りが少し残念なところがいくつかあった…という感じだ。
こんなボロクソに書いてしまったが、俺は牧場物語シリーズを愛しているので、今度おススメのタイトルなどについても書けたらと思う。
